先客万来のブースと商談の進むブースは同じですか???
お忙しい時間と、貴重な資金を使って見本市に出展されるなら、
ぜひ成果をつかんでいただきたいと願います。
今回は、見本市でのブースの作り方についてです。
実はわたくし自身、初回の出展では…。
頑張って準備万端で当日に臨んだつもりが、
いざ来場者をお迎えしてみると足りないことばかり…。
初日の午後には、試食用のスプーンが足りなくることが判明…。
アルバイトの、ブーススタッフさんがとても良い方で、
お昼休憩の時間にバイクを飛ばして、調達してきてくれました。
わたくしの来場者数予測が甘かったのか、
スタッフさんの接客力が素晴らしくて、
人だかりができ、
予定外の来場者まで引き寄せてしまったのか…。
たぶん両方だと思いますが…。
見本市では予想外のことが起こります
そうしたことに、つどつどで対応していると、それだけで体力を使い、疲れ果てててしまいます。
疲れると、商談どころではなくなります。
ですので、商談に集中できるように、体力を温存させる工夫も必要です。
見本市は、長期戦という点では、トライアスロンのようなもの、
事前準備にも工夫が必要です。
準備の仕方
準備の仕方は…
見本市では、事前に、開催事務局から、出展マニュアルと呼ばれる冊子や、その他、出展準備のために必要なことが事細かに書かれた資料が提供されます。
とても親切にそして具体的に書かれています。
見本市によって内容に幅はありますが…。
まるで「はじめてのお使い」に出かけるわが子を思うように…。
本当にかゆいところに手が届くような、記載もたくさんあります。
これを読めば、何をどのように準備すればよいか分かります。
わたくしの場合
生まれて初めて出展マニュアルを手にした当時は、
ブース装飾やその他の手配事項で頭がいっぱい。
やらなければならないことのイメージとしては、下記のような感じ…。
もちろん、わたくしの腕は2本しかありませんので、とてもコンプリートできそうにないと焦ります。
もちろん、じっくり読んでいる心の余裕など全くなく…。
受け取った翌日には、その存在さえ忘れ、我流で準備を進めました。
結果が冒頭の、「スプーン足りない」事件です。
あの親切なアルバイトさんがいなかったらどうなっていたことやら…。
出展マニュアルの存在に改めて気が付いたのは、会期後しばらく経ってからでした。
そして、中を読んでみて、
「あ“~~~。これを読んで準備をすれば良かったのか Orz 」と後悔しました。
マニュアルを熟読してみたものの…
2回目の出展では、会期2か月前から出展マニュアルを読みました。
ところが…。
半年前の失敗から、
どの項目も絶対にやった方がいいことはわかるのですが、
やる事が多すぎて*(ちょっと下の太字参照)
自社の限られた人員ではとても全部は対応しきれない、と思いました。
こうした経緯を経て、この記事でお送りする内容は、
自分で試してみて、有効だったことに絞ってあります。
*出展マニュアルに、たくさんの準備項目が書かれているのは当然だと思います。
なぜなら、出展者の規模も経験も背景も様々ですから。
多様な出展者に対応するには、幅広い範囲をカバーしなければなりません。
有効活用するには、自社にとって効果の高そうなものを、取捨選択すればいいのです。
ですが、わたくしの初回の出展時の様に、全部我流で…は少々危険かもしれません。
出展準備は時間との闘い
出展マニュアルや資料を読み、準備に使える時間、労力は限られています。
なぜなら、見本市に出るということは、搬出入等を含めると、概ね1週間、通常業務を離れて過ごすということです。
1週間、通常業務を離れている間の、不在中の対応手配等々、
もうそれだけで手一杯、ということも十分にあり得るのです。
さらに、展示会場の装飾、招待状の送付、会期中に配布する、チラシ等の手配…。
考えれば考えるほど、しなければならないことが浮かんできます。
もう、これだけで十分パニックです。
…
というわけで、時間と人手、資金が限られている中で、
効果の高い準備に的を絞ってお伝えします。
なお、人手も、お金も、時間も十分にあるという方には、お役に立てないかもしれません。
悪しからず。
千客万来のブース、商談の進むブース
今回は、ブース作りの考え方について検討します。
どんなブースを作ればいいのか?
一言で言うと、出展目的次第で、ブースの作りは変わります。
単に装飾にお金をかければいいというものではなく、
人目を引けばいい、というものでもありません。
出展目的と、ブースの造り(ブースから発信されるメッセージ)が
一致しているかどうか、
これがポイントです。
誰を捕まえたいのかで造りも変わる
たとえば、印象的だったのは…。
例1:袋めんの展示
ブースの壁面すべてに、メッシュパネルを設置して、そこに商品をつりさげて展示していました。
商品(袋めん)のパッケージがかわいらしくて、それが、壁面一面に飾ってあります。照明は、白っぽくて、明るい光。商品はとてもよく見えます。
分かりやすい、商品中心のブース。これだけで十分目に留まります。
例2:薄暗いブース
薄暗いブース。
商品はスカスカで、壁面は、お料理の写真が貼ってある位。
一見しただけでは、何を訴えたいのか分からない。
ですが、周りには、こんな変わった造作をするところはありませんので、
足を止めてくれる確率は高くなります。
しかも、入口には、間口を半分塞いでしまう、幅1.5mのカウンター。
まるで「とうせんぼ」。
カウンターの後ろには、英語表記の名札を付けた長身の男性が…。
いきおい、敷居は高くなります。
ブース内には、商談コーナーを設置。椅子は2脚のみ。
両者の良し悪しではなく、目的ごとにブースの作りは異なる、という観点での例です。
敷居を低くして、できるだけたくさんの方を迎えたい
例1:袋めんの事例は、比較的、単価の低い商品(取引額ではなく)を、気軽に導入していただきたい場合に有効です。
出来るだけハードルを下げて、幅広い層を呼び込むスタイル。
お迎えする方の数を絞っても、じっくりお話しをしたい
例2:後者は、「みなさんどうぞ」ではなく、ご興味があればお声をかけてください。
「御用がおありなら、座ってゆっくりお話ししましょう。」のスタイルです。
個別商談重視タイプ。
2つは、目的も対象も別。
ですので、別のアプローチをしているわけです。
どのようなブースを作るべきかは、
どんな方と出会いたいのか、その対象によって、異なります。
間口の幅
広くすれば、それだけ、訪れる人は増えます。
その分、冷やかしさんも増えるかもしれません。
狭くすると、来場者にとってはハードルが高くなります。
訪れる数は少なくなります。
その分、興味を持った方の割合が増えます。
お迎えする方の数は、絞られますので、おひとりごとに時間と労力を費やすことが出来ます。
どちらかに優劣があるわけではありません。
もし、出展の目的が、商品の反応を幅広く集めたい、だとしたら、例1の方向がおすすめです。
多少人数は減っても、じっくり商談をしたい、確度の高い見込みを探したい、なら例2がおすすめです。
目的が定まっていないことでのリスク
一番リスクが高いのが、目的が定まらないままで、なんでも呼び込んでしまうケース。
これをしてしまうと、応対するスタッフも自分も、疲れてしまいます。
この記事の読者層とは異なりますが、もし、十分な人数のスタッフが確保できるなら、
2つに分かれて、例1型の対応するチーム、例2型の対応をするチームと役割分担をする、という手もあります。
商談スペースをブース内に確保できないなら、その時のやり方もあります。(お問合せください)
ですが、最初から、一人のスタッフが両方のパターンに柔軟に対応するというのは、
なかなか難しいです。
見本市会場では例外事象が連続発生します。
スタッフさんに、
「臨機黄変に、柔軟に対応してくれ!!」なんて…。
こうした事を強いると、今度は責任者のあなたも管理業務が増えてしまうかもしれません。
千客万来のブース、商談の進むブース
見本市で不思議だと思うこと、
というか、
しっかり心しておかねば、と思うことがあります。
それは、先客万来のブース イコール 受注額の多いブース
とは限らないこと。
特に、食品の見本市では…。
試食を提供すれば、人だかりは出来ます。
人だかりが大きくなりすぎると、
来場者にとっては、「わたしも行ってみようかっな~」と
ハードルが一気に下がります。これ自体は問題ないのですが…。
人手不足の時にこれをしてしまうと…。
通常のBtoBの見本市では、即売はしません。
(多くの見本市は今でもBtoBが主流とは思いますが…)
ここでの試食は、デパ地下でのそれとは
少々意味が異なるのです。
ブース、大混雑の副作用
大賑わいは縁起がいいのですが…。
副作用もあります。
興味を持って来てくださった、バイヤーさんに対応に手が回らず…。
先方は忙しいので待ち切れず、早々に立ち去ってしまう…、ということも起こります。
そうすると、先客万来、試食提供数では自社記録更新、ところが…という結果も…。
ですので、出展目的を、ハッキリと持って、
目的達成のためには誰に狙いを定めるのかを、決めておかないと、
現場で悩んだり、後から、ずいぶん働いたのに思った成果が出なかったと、後悔したりします。
出展目的が、「できるだけ多く試食してもらって、感想、コメントを集める」、
なら、上記のバイヤーさんが捕まらなかったとしても、後悔は少ないはずです。
(もちろん、感想やコメント、試食提供数は、商品紹介やプレゼンに活用するためにも、記録を残して下さいね)
目的が、「確度の高い見込み客と10件と出会う」なら、
会場でむやみやたらに声をかけることではなく、
事前準備に比重を置き、確度の高い来場者を集めるように活動します。
事前の集客活動
会期前から公開される、商品情報検索サイトに掲載する写真や、商品説明の完成度を高め、
事前に商品情報を発信し、商品を知ったうえで来てくださる方の比率アップに注力する。
商品説明資料(商品規格書含む)等
本気で品定めに来てくれた方の疑問解消に万全を期す。
会期中は、来場者業種等プロファイルをチエックした上で、
お声がけをする、等こちらからある程度狙いを定めてアプローチすることが出来ます。
もっと、詳しく知りたい方は、こちらから質問をください。
質問、大歓迎です。
最後に
見本市出展は、大きなチャンスです。
特に、人員の限られた企業にとって、
短期間に、多くの見込み客と会えるという点では、
ジャンプのチャンスです。
チャンスを最大化するためには、準備が大事。
何かのご参考にしていただければ幸いです。
次回は、価格設定について検討します。
テーマは「販路拡大に備えて考えておくべきこと(価格)」
本記事は見本市出展を通じて成果を得ようと準備中の事業者様を対象に発信しています。
連続10回連載の予定、
最小の努力で、最大の効果が得られるような出展準備の進め方について記事を書いています。
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大久保優子のプロフィールはこちらから。
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今後の投稿予定
• あなたのブースは1分あたりおいくら?
事前準備編
• VIP招待状を送るべき相手とは(8月3日配信済)
• 千客万来のブースと商談の進むブース(今回の8月8日配信分)
• 販路拡大に備えて考えておくべきこと(価格)
会期中
• ブーススタッフが足りない場合の対策
• 受注確率を上げるための名刺整理法
• 招かざるお客様
• 商品提案(コラボ、メニュー提案、バイヤーへの情報提供等)
会期後
• 簡単にできる信用調査の方法